(2023/02/26)久しぶりにサイトをリニューアルしました。 (2023/03/01)村上春樹の新作タイトルが発表されましたね。
OPINION

#3 トレカ狂騒曲にもにゃる

トレカ一枚が数億円って。。。

 予想通りの「世も末」感であった。僕が子どもといっしょに遊戯王にハマった二十年ほど前から、たしかに高価格で転売されているカードはあった。それでもさすがに「億」で取引されることはなかったのではないか。なにせ、ただの紙切れである。尋常ではない。

 番組によれば、トレカの価格が急騰したのはここ二年のことらしい。つまりはコロナ禍以降ということである。余った時間で気軽に手を出せる「投資」として、トレカの売買をする人が増えたのだそうだ。さらに海外での取引も活発なようで、トレカの鑑定会社なるものも出現しているという。プロによる「鑑定」によって、公式に「価値」が与えられるわけだ。

 それでも、一部のコレクションマニアが熱狂しているだけなら、まだいい。7億2000万でポケモンカードを落札したというアメリカの格闘家が紹介されていたけれど、あくまで個人の趣味なのだから、いくら金を貢ごうが、それは個人の自由だ。だが、それを「資産」だと言い切るのはいかがなものか。

 とくに心配になったのは、とある美容師の例。コロナ禍で本業の売上が落ちたのを機に、トレカショップをオープンさせたという。「美容師でこんなに頑張っているのに、カードってすげぇなって……」と語る彼のことばが、なんとも切ない。長い目で考えれば、手に職を持っていたほうが、のちのち有利であることは明らかだ。一日も早く、目を覚ましてほしい。彼らのような若者ほど、安易な金儲けに走りやすい。会社を辞めてトレカ投資に走り、身を潰す若者が出ないことを祈るばかりだ。

 当然のことながら、トラブルも起きる。なかには、盗みに入られて2,500万円の被害に遭った店もあるのだそう。そういえばウチもかつて、家にあげた同級生にカードを盗まれたことがあった。そのときは僕がそいつを追いつめ、店に売り飛ばそうとしていたところを現行犯で捕まえて、親を呼び、警察に連絡した。結局、盗みをはたらいた彼は、更生することはなかった(卒業式で会ったが、立派な不良になっていた)。今でも苦い思い出である。

 そもそもトレカのメインプレイヤーは、子どもたちのはずである。あまりに高価過ぎて、子どもたちが思うように買うことができない今の状況は、明らかにおかしい。子どもたちをわきに追いやっておいて、転売で儲けようなどとは、恥ずべき行為だと思う。

 みんな!デュエルしようぜ!。